Halcyon

全長 約2800mm
全高 約550mm
全幅 約550mm
トレッド 525mm
ホイールベース 約1640mm


シャーシ 鉄角パイプフレーム
カウル 塩ビ(スクリーン) プラダン(それ以外)
エンジンベース HONDAスーパーカブ50
燃料供給方式 キャブレター
タイヤ IRC 20インチ
リム  ALEX DX32
大会記録 418.785km/L  74チーム中27位


今年の1年生の車体”Halcyon”は、製作開始から大会まで2ヶ月という超短期間で、完走させることを最優先目標とした上で600km/Lという目標を掲げて製作がスタートした。設計者が製作経験のあるフレームの設計をほぼ流用し、作りやすさを優先した。
フレームの構造は、今までの精研で主流だったフレームとは大きく異なり、フレームの材料に鉄を使う代わりに、本数を少なくし重量を抑えるというコンセプトである。また、フレームの重要な箇所に嵌め合いを採用し、剛性upを図った。フレームの製作に関しては、鉄パイプを加工するところまでは予定よりも早く進んだが、溶接機が壊れたり、本来とは逆の向きに溶接してしまったりと、最終的に予定より2週間ほど遅れてしまった。
エンジンは、偶然、新品のエンジンを使うことになったが、時間が限られていたので、”取り敢えずいらないものを省く”をコンセプトに、大胆に部品を取り除いた。クラッチ以降の変速機構(ギア)などを全て取り除いて、クラッチから直接動力を取り出す仕組みに改造した。これにより、約5kgの軽量化と、機械的損失を大幅に抑えることに成功した。また、KITACO製高圧縮比ピストンへの交換と、放熱板のパテ埋めなど比較的簡単な改良も行った。エンジンのオーバーホールには慣れないところもあり苦戦したが、なんとか完了することができた。
足回りに関しては、ホイールやタイヤは以前から精研にあったものを、ベアリングの交換だけ行い、利用した。前輪の固定部に関しても、最も単純と思われる構造で作りやすさを優先した。車体の中で唯一完全オリジナルの設計である、エンジンと後輪の間にある動力を伝達する中間軸は、うまくできるか不安だったが、予想以上によくできた。
とにかく完走させることが最優先であったため、カウルの製作は完全に後回しになり、大会まで一週間をきってもカウルはほとんど作られていない状態だった。材料を集める時間もほとんどなく、近くのホームセンターに売っているもので揃えた。最低限、ドライバーを覆うアッパーカウルを作りたかったので、ドライバーの視界を確保するため、アッパーには透明な1mmの塩ビ板、アンダーは極限まで軽くするため薄いプラタンに補強用のワイヤーといったかたちになった。予想通り、カウル製作は本番直前まで夜通し行うこととなった。
本番走行に使わないからという理由で疎かにしていた部分があり、練習走行前の車検でブレーキテストに落ちてしまった。ドライバーは経験者で無かったのにもかかわらす練習走行に出ることができなかった。大いに反省したい。
本番直前まで最後の調整を行い、本番では奇跡的に一度も止まることなく完走することができた。当初の目標の600km/Lには届かなかったが、それでも数々のトラブルが発生しながらも、なんとか2ヶ月という超短期間で部内最高記録を達成することができた。
来年は、今年力を入れることができなかった、エンジンの大幅な改造、キャブレターの調整、足回りの機構、そしてFRPカウルに挑戦したいと思う。