蟷螂の斧


全長 600 [mm]
全幅 450[mm]
全高 240[mm]
重量 3490[g]

スタート時サイズ
縦   600[mm]
幅   330[mm]
奥行き 240[mm]

腕機構 揺動スライダーリンク機構(変則平行リンク)
  380モータ2つを使用 
最終減速比 300 : 1
脚機構 スライダーリンク機構
  120度位相×3枚×4脚 
380モータを2つ使用  
最終減速比 36 : 1

大会参加結果

第21回かわさきロボット競技大会
予選トーナメント
第1試合 対 狭霧 勝利
第2試合 対 舞姫 敗退
敗者復活戦第1試合 対 (TAT) 敗退

KHK杯2014
第1試合 勝利
第2試合 敗退

機体コンセプトについて
以下の2つに留意して設計を行いました.
・何があっても、確実に試合に出られる
・大きな鎌をぶん回す!

  腕機構について
  本機体の武器. 巨大な鎌とそれを回す機構についての説明

 
 

図2 機体正面


  この鎌に相手を引っかけ、投げ飛ばします.

・動力部
鎌を無限回転させるために、本機体では揺動スライダーリンク(変則平行リンク)を採用しています.


図3 腕機構説明図




図4 回転時のパーツの動きの様子



図3に示したように、動力から力を受けたギアと、鎌を回すための出力軸に接続された円盤がリンクパーツでつながっており、この小さなパーツが回転時に揺動することによって、かわロボ大会規定をクリアしながら無限回転機構を実現しています.
ギア側にあるリンクパーツの固定点と、出力軸側の円盤にあるリンクパーツの固定点は、それぞれの中心軸に対し、お互いに違う回転半径を持っているために、真ん中に挟まれたリンクパーツにスライダ溝を掘る必要があり、それによって揺動角が生まれる、という仕組みです. (もしも、この2つの回転半径が同じであれば、いわゆる平行リンクと全く同じ構造になります)
リンクパーツを含め、この部分には鎌から受けた力が直接かかるので、ギアや円盤にはt4のアルミを、出力軸にはφ16の中空アルミ棒を使用し、絶対にゆがまないように設計を行いました. その甲斐あってかこの部分での故障は、モータ1つで無理やり動かした際に1度だけ、タミヤのギアボの歯車が砕けただけでした.

・カウンターアーム
攻撃時、自機の転倒を防ぐためにカウンターアームを搭載しています.
スタート後に鎌によるロックを外し、展開します. カウンターアームの根元には本体側面のスリットに合うでっぱりを作り、これを展開時にスリットに差し込み、強度を増しています.
このスリットは最初の設計では存在しませんでしたが、練習走行会に参加した際、この部分がひしゃげてしまったために、追加で設計をおこないました.


図5 カウンターアーム根元

・鎌
相手機体に引っかかりやすくすることと、この部分で相手の攻撃を受けることを想定し、2重構造の鎌を使用しています. また、鎌と鎌の間にはローラーが仕込まれており、移動時や攻撃時に、地面との摩擦を減らします.


図6 鎌



脚機構について
120度位相スライダーリンク機構を用いた脚を4脚備えています.各脚はユニット化されており、破壊されてもすぐに修理、取り換えが可能です.


図7 脚ユニット



利点、課題
利点としては、剛性が高いことがあげられます. 練習走行会、かわロボ予選トーナメント、KHK杯などで散々攻撃を受けたものの、故障はタミヤのギアボの歯車が砕けたこと(モータ1つでアームを動かしたことによる自滅)、カウンターアームの根元(スリットを入れる前の状態)がひしゃげたこと、の2つだけです. 
また、分解と組み立てが容易なので、機体のサイズが大きい割に持ち運びは楽です. 整備もしやすいので、運用が非常に楽です.
攻撃面では、アームの力がやたらに強く、鎌が相手に刺さりさえすれば、ほぼ確実に投げ飛ばしが成功します. 

課題はスタートの精度の悪さ、遅さの改善です. 試合で負けた理由の8割が転倒スタートミス、転倒スタート直後の攻撃によるリングアウトでした. 鎌が大きすぎるために、スタート時の体制では重心バランスが悪いことが原因です. 鎌を軽くするか、重心バランスを安定させるためのカウンターウェイトを用意する必要があります.

その他感想など
鎌を使っているのになんで蟷螂の"斧"なの?とよく言われますが、名前の由来は故事成語のほうの蟷螂の斧からとっています. 設計1年目のペーペーの初心者が必死に抵抗した結果の機体なので、この名前を付けました.イメージとしてはダンプカーの前で腕を振り上げているカマキリあたりでしょうか. 次の瞬間にはぺしゃんこですね.

脚がユニット化されていることは上でも書きましたが、実はアームもユニット化されており、鎌、動力部、カウンターアームの1セットをそのまま他の機体に付け替えることができます. ただ、当部所属の他の機体(fai#ヒマジンブレイカー)とは規格が違うので、規格を補正するためのパーツを作らなければ、彼らに取り付けることはできません…….

強制労働を強いてしまった班員の皆、設計製作時に快く愚痴やら相談に乗ってくれた同期の仲間たち、アホな質問を繰り返す私を見限らずに粘り強く教えてくださった先輩方、部室に溜まる私たちを見守ってくださったエコラン班の皆様、あなたがたのおかげで機体を完成させることができました.
本当にありがとうございました.